分かれ目は、相手がけがをしたかどうかです。けがのない単純な暴行(폭행)は、被害者がはっきり示した意思に反しては検察官が追及できない犯罪です。そのため、被害者が処罰を望まないと表明する本物の示談が成立すれば、たいていそこで幕引きになります。ところが、けが(상해)がある場合や、瓶、グラス、集団がからんだ場合は、示談の後も事件は続きます。合意は出口ではなく、処分を軽くする材料という位置づけに変わるのです。韓国に住む外国人の場合、この二つの結末の違いは二重に効いてきます。一度目は前科として、二度目は次のビザ申請のときです。
私の事件は暴行と傷害、どちらにあたりますか?
罪名は、事実関係と、実務上は相手が出してくる傷害診断書(상해진단서)をもとに警察が決めます。刑法(형법)が定める、けんかの類型ごとの刑の上限は次のとおりです。
| 罪名 | よくある事実 | 刑の上限 | 被害者の意思で止められるか |
|---|---|---|---|
| 暴行(폭행) | 突き飛ばす、平手打ち、こぶしで殴る(けがはなし) | 懲役2年、罰金500万ウォン、拘留か科料 | 止められる |
| 傷害(상해) | 切り傷、折れた歯、骨折 | 懲役7年、資格停止10年、罰金1千万ウォンのいずれか | 止められない |
| 暴行致傷(폭행치상) | 押された人が転んでけがをした | 傷害と同じ扱いで処罰 | 止められない |
| 特殊暴行(특수폭행) | 危険な物を手にして、または集団の力で殴る | 懲役5年か、罰金1千万ウォン | 止められない |
| 特殊傷害(특수상해) | 同じやり方でけがをさせた | 懲役1年から10年。罰金刑の選択はない | 止められない |
グラス、瓶、椅子は、誰かが凶器として持ち込んだ物でなくても、危険な物と見なされる場合があります。複数人で加わったときは、暴力行為等処罰法(폭력행위 등 처벌에 관한 법률)という特別法が問題になることもあり、当てはまるかどうかは弁護士に見てもらう必要があります。
示談で暴行事件が終わるのは、どういう仕組みですか?
単純な暴行なら、処罰を望まないという被害者の意思表示(처벌불원서)が法的な力を持ちます。起訴の前であれば、検察官はもう起訴できません。すでに起訴されていれば、裁判所は公訴を棄却する決まりです。被害者は第一審の判決が出るまでこの意思表示をしたり撤回したりできますが、処罰を求める意思をいったん取り下げると、同じ事件でそれを持ち出し直すことは認められません。
傷害や特殊な類型の罪にはこの仕組みがなく、合意は刑の重さのほうに作用します。裁判官は犯行後のふるまいを量刑で考慮することになっており、けがをした人への十分な賠償は重く見られます。それが起訴猶予か罰金か、あるいは罰金か懲役刑かを分けることもあるほどです。
示談は、どのように進めるべきですか?
自分で、または友人を介して動くのではなく、必ず弁護士を通してください。相手の家や職場に押しかけたり、同僚に伝言を頼んだりすると、証人に圧力をかけたと受け取られ、裁判所が勾留を判断するときに不利な事情とされかねません。警察はふつう、被害者の電話番号を教えてくれません。弁護士なら、代理人からの連絡に被害者が応じるかどうかを捜査官に問い合わせられます。
署名する前に確かめたいこと:
- 韓国語の文面を自分の言語に訳してもらい、最後まで目を通す。
- 相手が「処罰を望まない」と言い切る文言の有無を確かめる。金額の記載だけでは不十分です。
- 治療費や将来の民事上の請求まで決着させるのか、それとも別に残すのかを確認する。
- 書面に書かれた口座へ銀行振込で支払い、控えを手元に残す。
被害者がどんな合意も拒むときは、刑事供託(형사공탁)について弁護士に相談してください。被害者のために裁判所へお金を預ける制度です。供託は示談と同じものではなく、どれほど重く見るかは裁判官の判断に委ねられます。
先に手を出したのは相手です。有利になりますか?
効くことはあっても、期待されるほどの効果はたいていありません。韓国法の正当防衛(정당방위)は、今まさに起きている不法な攻撃に対し、相当な範囲で反撃したときに認められるものです。反撃がやりすぎだった場合、裁判所は刑を減らしたり免除したりでき、夜間や、恐怖、驚き、混乱のさなかでの過剰な反応なら罰せられません。お互いに殴り合ったときは、防衛ではなく双方のけんかだと裁判所は判断してきており、両方が被疑者になります。あなたもけがをしたなら、その日のうちに自分の診断書も取っておくことです。
飲んだ夜の証拠は、あっという間に消えます。店や路上の防犯カメラの映像は数日で上書きされることが多いので、警察に映像の確保を求めるよう弁護士に頼んでください。見ていた友人の名前と連絡先、時刻の分かるタクシーやカードの領収書も残しておきます。
かなり酔っていました。弁明になりますか?
なることはまれです。法律は、精神の障害で判断する力が弱っていた人の刑を軽くしますが、危険を予見しながら自分でその状態を招いた場合には、その恩恵を外しています。自分の意思で飲んだことを寛大な扱いの理由にするのに、裁判所は慎重です。取り調べで「覚えていません」と答えるのも、安全な作戦とはいえません。黙秘権を使うほうが、よほど確かな手段です。
その夜、ほかにも何か起きていませんか?
飲み屋のけんかでは、ほかの客との示談では片づかない別の罪が付いてくることがよくあります。
- グラスやテーブル、携帯電話を壊したなら器物損壊(재물손괴)で、3年以下の懲役か700万ウォン以下の罰金です。持ち主に弁償すれば有利に働きますが、この罪は持ち主の意思と関係なく進みます。
- 駆けつけた警察官を押した、または脅したなら公務執行妨害(공무집행방해)にあたり、刑は懲役5年まで、罰金なら1千万ウォンまでです。この罪は私人の意思で取り下げられる性質のものではありません。
ビザには、どう響きますか?
ふつうの暴行や傷害は、刑の重さに関係なく入管が国外退去させられる犯罪の一覧には入っていません。したがって罰金で済めば退去の根拠にはならない一方、在留の延長や資格変更、永住の審査では材料として見られます。懲役刑となると、執行猶予付きでも危険度は段違いです。この点は有罪判決と強制退去を扱った記事で詳しく説明しています。また、事件が片づくまでは空港で出国を差し止められる場合があるため、飛行機の予約は事前に確かめてからにしましょう。
次にすること
日付、場所、その場にいた人、双方のけがを書き出し、メッセージや領収書はすべて取っておいてください。相手に連絡するのは控えてください。警察からの通知とビザの情報をお送りいただければ、見込まれる罪名と、示談をどう進めればよいかをご説明します。ご相談は有料です。お問い合わせいただくと、担当者から折り返しお電話し、費用についてご説明します。
법무법인 대한중앙
1533-7377
適用される規定
刑法(형법)第10条第2項および第3項(心神耗弱、危険を予見して自ら招いた場合は適用しない)、第21条(正当防衛、過剰防衛、夜間や恐怖、驚愕、興奮、狼狽の状況)、第51条第4号(量刑における犯行後の情況)、第136条第1項(公務執行妨害)、第257条第1項(傷害)、第258条の2第1項(特殊傷害)、第260条第1項および第3項(暴行、被害者の明示した意思に反して公訴を提起できない)、第261条(特殊暴行)、第262条(暴行致傷は傷害の例により処罰)、第366条(器物損壊)。刑事訴訟法(형사소송법)。2026年10月2日施行の改正後の規定によります。第70条第2項(勾留の判断における被害者や証人への危険)、第232条第1項および第3項(第一審判決までの撤回、再度の申立ての禁止)、第327条第7号(被害者が処罰を望まない場合の公訴棄却)。出入国管理法(출입국관리법)第29条第1項(出国停止)、第46条第1項第13号(禁錮以上の刑を受けて釈放された人)。同法施行規則第54条および第54条の2(退去の対象として挙げられた犯罪)。暴力行為等の処罰に関する法律(폭력행위 등 처벌에 관한 법률)と刑事供託の制度(형사공탁)は名称のみ挙げています。ここでいう刑法と刑事訴訟法は韓国の法律で、日本の同じ名前の法律とは別のものです。
一般的な情報であり、法的助言ではありません。事案ごとに事情は異なります。
